レグルス王国の物語

レグルス王国の英雄譚 | 王国が“守るべき存在”を知るきっかけとなる物語


砂漠を駆ける王子の誓い|Regulus – Desert Oath


― 王国が“守るべき存在”を知るきっかけとなる物語 ―


その会社の名前を、あなたはきっと何度も耳にしてきた。
テレビをつけるたび、街を歩くたび、広告やニュースの向こう側で、当たり前のように存在している名前だ。


だが、ここでひとつだけ、立ち止まって考えてほしい。


――テレビを発明した人の名前を、あなたは知っているだろうか。


多くの人は答えられない。
それは無知だからではない。
ただ、知る必要がなかったことにされてきたからだ。


その男は、王でも、英雄でもなかった。
ましてや企業のトップでもない。
彼はただ、夜遅くまで机に向かい、図面を書き、失敗を重ね、
「こんなものがあったら、世界は少しだけ良くなるかもしれない」
そう信じていた、ひとりの発明家だった。


彼の発明はやがて形になり、
便利で、画期的で、誰もが欲しがるものになった。


その瞬間、世界は彼を必要としなくなった。


発明は会社のものになり、
特許は管理され、
製品は大量に作られ、
企業の名前だけが大きく、大きく育っていった。


人々はその企業名を覚えた。
だが、最初に火を灯した者の名前は、
静かに、歴史の端へと押しやられていった。


彼は戦わなかった。
声を上げることもなかった。
ただ、自分の仕事が誰かの役に立っているなら、それでいいと、
そう思うようにして、生きていった。


だが王国は、その姿を見逃してはならない。


英雄とは、剣を振るう者だけではない。
名を残す者だけでもない。
世界を変えながら、名前を失っていった者たちが、確かに存在した。


レグルス王国が学んだのは、その事実だった。


守るべきものは、城でも、富でも、称号でもない。
静かな部屋で、まだ誰も気づいていない未来を思い描き、
それを形にしようとした、名もなき意思そのものだ。


この物語は、忘れ去られた発明家のためのものではない。
これから生まれてくる、同じような存在のための物語だ。


王国は誓う。
声の大きな者だけでなく、
光を独占する者だけでなく、
最初に灯をともした者を、決して一人にしないと。


それが、この王国が
「守るべき存在」を知った、最初の日だった。


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