レグルス王国の物語

祝福が呪いに変わる時──現代版マレフィセントの物語

眠れる森の男子-Re:Creation テーマソング


祝福されるはずの夜に、愛と嫉妬がひとつの命を揺らした。

現代に生きるマレフィセントたちの、静かな祝福と呪いの物語。


Prologue:雪の夜に

雪は、音を奪っていた。

風もなく、粉雪だけが足元で鳴る。

黒いコートの襟を立て、吐く息が儚く消える。


ぱりんは、足元の雪を踏みしめた。

かつてレグルスが夢を語った丘の先、

会場の灯りが滲むように光っていた。


Scene 1:祝福祭の夜

ガラスのドームホール。

人々のスマホが光を放ち、

ストリーミング配信のコメントが流れている。

〈#RegulusChild #祝福祭〉がトレンド入りしていた。

中央のステージでは、

三賢者──あかり、らら、ゆめり──による“祝福の儀”が始まっていた。

けれど、ゆめりの姿だけが見当たらない。

レグルスの腕の中には小さな子ども。

白いブランケットに包まれ、その頬には、かすかに青い光が反射していた。


あかり、ららの二人が手をかざした瞬間、ステージの照明が落ちて、雪が降り積もる丘に祝福と共に光が舞っていく。

そして、その先にひとりの影。


Scene 2:ぱりんの登場

雪の中を歩く音。

ざわめく会場。

ぱりんが黒いコートのまま歩み出てくる。

微笑んだその顔は、凍えるように冷たかった。

レグルスが止める間もなく、

彼女は子どもの前に立つ。


Scene 2:ぱりんの登場

ぱりんは微笑んだまま、

子どもを覗き込み、柔らかく囁いた。

その瞬間、会場の照明が一斉に点滅。

スマホが一斉に落ち、音が途切れる。

青い雪が舞い上がった。

祝福は、呪いに変わる。

ぱりんは何も言わず、ただ背を向けて歩き去った。

その後ろ姿に、レグルスの声は届かなかった。


Scene 4:疑いと嫉妬

祭りの後。

観客が去ったホールに残るのは、

レグルスと光の王女、そして眠る子どもだけ。

レグルス「君が彼女を呼んだのか?」
「私は誰かにあなたとの関係を話したりなんかしないよ。
……でも、嫉妬はさせないでほしい。それ以外は、何も気にしない。」


その声に、

レグルスの中で、ある確信が生まれた。

この子は自分の子だ。

でも、彼女の子ではない。

母でない彼女が、

母になりたかった。

そして、母になれなかった嫉妬が、

ぱりんを呼び、呪いを生んだ。


Scene 5:雪のキス

ホールの非常灯だけが二人を照らす。

ガラス越しに降る雪が、

まるで世界の音を閉じ込めたようだった。

かなのは彼にそっと顔を寄せた。

触れた唇は、温度を失った雪のように淡い。

それは赦しでも愛でもなく、

失われた未来への、最後の祈りだった。


Scene 6:余韻

外。

ぱりんは雪の中を歩いていた。

スマホに通知が光る。

〈#祝福祭 事故 #呪い #青い雪〉

彼女はふっと笑った。

「ねぇレグルス。

 愛って、いつも綺麗なままじゃいられないね。」

青い雪が空へ舞う。

そして、その奥で、

姿を見せなかったゆめりの瞳が、

何かを静かに見つめていた。


🎬 あとがき:「雪の呪い ― The Blessing of Shadow」

この物語は、“愛と祝福の境界”を描いた寓話です。
SNSや配信の中で祝福が拡散される時代、
「誰かの幸福」は、時に他者の心を凍らせる“呪い”にもなり得る。


ぱりんは、その痛みの象徴。
光の王女のかなのは“赦し”をもたらす存在。
レグルスは、創造と責任の狭間で揺れる王子。


祝福と呪いは、表裏一体。
どちらか一方だけを切り離すことはできない。
だからこそ、雪は青く舞い、闇の中に光が生まれる。

「The Blessing of Shadow」
──それは、闇に差す光の祈り。


#眠れる森の男子 #現代のマレフィセント #祝福と嫉妬

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