
ゆめりの物語は、実は明確な時系列で紡がれています。
①《眠れる森の男子 ― Wake Me, Wind》
②《YUMERI PIANO CONCERTO 第一楽章》
現在お読みいただいている《ゆめりピアノコンチェルト》は、
第一楽章から始まるように見えますが──
その前に語られるべき “ひとつの物語” があります。
それが、ゆめりと奏人(かなと)の出会いと別れを描いた
《眠れる森の男子》 です。
この物語を知ることで、
ゆめりがなぜ夢と現実の狭間で揺れるのか、
なぜ彼女が「音」に導かれて月影横丁へ辿りつくのか。
そのすべての“根っこ”が理解できるようになります。
まずは、①《眠れる森の男子 ― Wake Me, Wind》からご覧ください。
そのあとで第一楽章を読むと、
ゆめりの歩いてきた道が驚くほど鮮明に感じられるはずです。
🎼 第一楽章《ゆめりの記憶 ― 江戸に落ちたひかり》
■あらすじ
2025年12月。
現代に生きる少女ゆめりのもとに、ある夜“音”だけが届く。
それは誰も知らない旋律―138年前の江戸から流れてきた、彼女自身の記憶の断片。
音に導かれるようにして、ゆめりは時空の襞(※1.ひだ)へと吸い込まれ、
目を開けたときには、まだ瓦屋根(※2.かわらやね)の影が呼吸していた明治初期の江戸の町に立っている。
※1.着物や布の“折り重なった部分”を表す
※2.屋根材として“瓦(かわら)”を使った屋根

日が暮れると、江戸の街並みは静かに彩りを帯びていく。

彼女はその時代で「ある少女」だった。
その少女が残した未完の想いと、言えなかった言葉が、
138年の時を超えて今のゆめりに流れ込んでくる。

第二楽章《ゆめりの影 — 結ばれなかった恋の残響》
江戸の少女ゆめりは、
身分も、時代も、運命も違う“ある青年”に恋をしていた。

しかし、二人の距離は決して交わらなかった。
その想いは“想いのまま”時空に封じられ、
138年もの間、誰にも触れられずに眠っていた。
第二楽章では、
現代のゆめりが、その江戸の少女の感情を追体験していく。
彼女がふと見せる寂しさ──
その理由が静かに解き明かされていく章。
第二楽章は「ゆめりの心に残る影」の正体を描く、もっとも切なく、もっとも女性的な章。
この影があるからこそ、現代ゆめりの光が美しく見える。
第三楽章《ゆめりの明日 ― 失われた手紙の続きを》

未完の恋。
結ばれなかった言葉。
過去に置き去りにされた想い。
第三楽章では、現代のゆめりが、
“あの時言えなかった答え”を自分の声で取り戻していく。
これらが重なった瞬間、彼女はようやく
138年前に言えなかった言葉の続きを紡ぐ資格を得る。
第三楽章は「終わり」ではなく「続き」。
江戸で終わった物語の続きを、
ゆめりは2025年の世界で書き始める。
第三楽章は、“ゆめりの再生”と“過去への赦し”の章。
そして、現在を生きる彼女自身の新しい一歩を示す章。
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