【逃走劇】みどり、追っ手から逃げ切れるのか…?明治の街で始まる“誤解だらけ”の物語
物語をより深く楽しんでいただけるよう、この記事の冒頭にBGMをご用意しました。
よければ再生しながら、ゆっくり『たけくらべ』の世界をお楽しみください。
美登利(みどり)と真如(しんじょ)は追っ手を振り払い、
月影横丁の行灯(あんどん)が照らす細い石畳(いしだたみ)の小径(こみち)を、静かに歩みを進めていた。
■登場人物
美登利(みどり)──物語のヒロイン。
下町で育った、まっすぐで情に厚い少女。
偶然出会った信如に、静かに心を寄せていく。
香奈乃(かなの)──老舗檀家(だんか)の一人娘。
信如の家とは代々深い結びつきがあり、親同士は“婚約話”を進めている。
だが本人はまだ答えを出せず、周囲だけが勝手に盛り上がり、
ついには刺客まで動き出すほどの「伝統の重さ」を背負った少女。
檀家(だんか)とは、寺院を代々支えてきた家のこと。
葬儀や法事をその寺に任せ、その代わり寺を経済的にも精神的にも支える関係を結んでいる。
信如(しんじょ)──寺の息子。
本人はただの青年のつもりだが、
みどり・かなの・檀家筋(だんかすじ)・下町の連中・みどりのファンまでを巻き込み、
なぜか全方向から狙われることになる “受難の男”。
司(つかさ)──檀家の若女将。
古いしきたりが色濃く残る家に育ち、
寺と檀家を“切っても切れない縁”として守る役目を背負わされた女。
信如のふとした動きさえ見逃さず、
檀家にふさわしくない相手と親しくなろうものなら、
静かにその仲を断ち切ろうと画策する。
それは嫉妬ではなく、
「伝統を裏切れば家が崩れる」
という、彼女なりの切実な使命感ゆえだった。
【第一話:誤解の月影横丁|前編】
檀家の刺客
「お嬢の元へ連れ戻す!覚悟しろ!」
みどりのファン
「駆け落ちなんてさせねぇ!しねやぁ!!」
──剣と銃が飛び交う中、
信如は全員をサッといなしながら疾走。
みどり
「信如さん、どうして追われているんですか…!?」
信如
「いや、分からん。とりあえず香奈乃と話してくる。
……ついて来てくれるか?」
みどり
「はい!」
信如は、どこか“女性に難あり”と噂され、
これまでの縁談もなぜか上手く運ばなかった。
自分から誰かを選ぶことはなく、
いつも“選ばれる側”として話が進む。
けれど、いざ選ばれたとしても、
最終的には縁が結ばれないことが多かった。
寺を継ぐ身としての重責が、
彼を慎重にさせすぎていたのかもしれない。
しかし、信如も心が強いわけではない。
縁が結ばれないたびに、胸が沈み、ひとり思い悩む夜もあった。
そんな信如を、そっと支えてくれたのが──みどりだった。
下町で育った、まっすぐで情に深い少女。
身分も立場も関係なく、人の痛みに寄り添える優しさを持っていた。
信如にとっては、強がりを見せずにいられる数少ない相手だった。
【CUT 1:立ち止まる二人、月の光】
みどり
「ねぇ、信如さま…
さっきは本当に、ありがとう。」
【CUT 2:みどり、胸に手をあてる】
「少し…怖かったんだ。
でもね、信如さまの後ろ姿を見てたら、
なんでだか落ち着いてきちゃって。」
【CUT 3:寄り。みどりの小さな微笑】
「守られてるんだなぁって…思ったの。」
【CUT 4:静かな石畳。二人の足元】
「どうして狙われてたのかは、まだわからないけど…
信如さまがそばにいてくれたから、
走れたし、泣かずにいられたよ。」
【CUT 5:信如の手を見つめるみどり】
「ねぇ…怪我してない?
手…震えてたように見えたから。」
【CUT 6:みどり、少し照れながら】
「信如さまって…強いのに、無茶するところあるから。」
【CUT 7:ゆっくり目を伏せる】
「さっきみたいに刀を振ってくれたの、すごく嬉しいよ。
でも…
信如さまも、自分のこと大事にしてほしいんだ。」
【CUT 8:月影横丁の静寂】
「ほら…少しここにいよ?
今日の月影横丁、こんなに静かなの珍しいし。」
【CUT 9:二人の足音だけが響く】
「さっきの信如さまの歩く音、
なんだか…すごく優しく聞こえたの。」
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